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R.U.K.A.R.I.R.I | リリカルマジカル16 ゲストSS参加情報
About Circle Board Twitter Link Circle work Mail RSS facebook google+    『R.U.K.A.R.I.R.I』のHPです。
2013.10.13
リリカルマジカル16 
2013年10月14日(祝、月)
大田区産業プラザPiO大展示ホール 開催予定

に参加予定のサークルさんの作品に、ゲストSSを書かせていただきました!

水凪工房(水凪さん)

サークルスペースは『イ16』です。


新刊の方ですが、「占え!カリムさん(カラー12P + モノクロ12P)」 ¥500 です。
詳しくは水凪さんのHPをご覧ください。

下記は、ゲストSSサンプル『Angels holiday ~sister and sister~』になります。

内容は、魔法少女リリカルなのは INNOCENTを題材にしたものです。



 プレシアがパソコン画面に忙しなく目を配り、パソコンを操作していた。
「……」
 その背中がとても寂しそうに見えて、
「プレシア……どうかしたのかしら、あまり元気がなさそうに見えるけど?」
 ついリンディが見かねて声をかけてしまったが、すぐに後悔した。
「その画面は何!? どうしてあの娘たちが映っているのよ! それと……仕事は……!?」
 リンディの見つめる視線の先――プレシアのパソコン画面に映り込んでいたのは、ブレイブデュエルフロアにいるフェイト、アリシアの働く姿。
 プレシアに任せた、本来表示されているはずのイベントの収支計算データは、画面の隅っこに小さく追いやられていた。
「最近……わたしあの娘たちとの触れ合いが減った気がするわ。それも超がつくくらい。どうしてかしら……?」
 二人を見ながら、プレシアはそうぼやいた。
「わたしにはそうは思えないのだけど――、」
 リンディの脳内に過ぎったのは、プレシアから娘たちへの異常なまでの愛情行為。だからこそ、リンディにはそうは思えない。その思案が一つも浮かんでこない。
 とはいえ、子供への愛はわかる。自分も息子がいる身だ。子供との時間は大事にしたい。だから、二人を見ながら、リンディは言葉を優しく告げる。
「そうね……あの娘たちが、仕事を手伝い続けていることは確かなことだわ」
 前日まで続いたイベントによって、各フロアが大盛況。人を増やしても、増やしてもとてもじゃないが、回り切らないほど大忙し。プレシアたちの大変そうな姿を見たフェイトたちは、毎日学校からまっすぐ帰ると遊びにも行かず、プレシアたちの手伝い、自ら仕事に励んでいたのだった。
「そうでしょう!? 一時間……いや一分ごとに休憩させるべきよ! そしてわたしと遊ぶのよ」
「……プレシアはもっと二人を見習うべきよ!」
 店長のあなたが仕事をしないわけにはいかないのと、リンディは眉根を寄せた。心配は後悔に終わったわけだけど、
「……」
 今もなお仕事し続ける二人の姿に、リンディは罪悪感がした。イベントも終わったことだし、二人には子供の時間、遊べる時間をあげたいとそう思うが、いい手が浮かばない。
「二人とも……辛くないのかしら……」
 なおも寂しそうな背中を見せるプレシアに、リンディは肩をできるだけ優しく叩き、
「そのことだけは……違うと思うわ」
 はっきりとした言葉で伝えた。
「そうかしら……?」
「そうよ。ほら、あの娘たち……楽しそうな顔をしているでしょう?」
 プレシアが再度画面を見るとアリシアも、フェイトもカードローダー装置のテストを楽しそうにしているように見えた。自分たちが罪悪感にいくら蝕まれていたとしても、二人の笑顔はそうじゃないよと、訴えかけてくるかのように見えた。
「そうだわ……!」
 瞳を輝かせ声をはりあげるプレシアの挙動に、
ため息をつきながら、画面に映る小さな妖精たちを見て、今回だけは見逃してあげようかなと、リンディは静かに仕事を再開した。

「フェ~イト? そっちの子のちょーしは大丈夫そー? 元気かなぁ?」
 カードローダー装置に入っているアリシアが、同じく隣のカードローダー装置に入っていたフェイトに問う。二人はシステムテストを行っていた。
「うん、異常なし。大丈夫そうみたい」
「最近お客さんで一杯だっただから、この子たち、元気そうでよかったよ」
「そうだね――これでよしと。アリシアこっちのテストは全部終わったよ。そっちは?」
「もっちろん! それにしても! あの時のフェイトと、なのはのデュエルは凄かったね! お姉ちゃんも鼻が高いよ」
「そ、そっちは聞いてないよ!」
「思わず録画して、毎日見てるくらいだよ!」
 カードローダー装置から出てきたアリシアが、フェイトに向け、えっへんと胸を張ると、
「えっ――」
 その言葉でカードローダー装置から一歩踏み出した状態で、フェイトが固まった。
「あれれ……フェイト? おーい、フェイトぅ? どうしたの? 大丈夫?」
 フェイトの目の前でジャンプをしても、手を振っても、何も反応が返ってこなかった。完全に硬直していた。
「――フェイト~!」
 声を張り上げながら突如として現れたプレシアがそんなフェイトを抱きしめた。それでようやく、
「……あっ」
 少しの照れと共にフェイトは我に返った。
「……あれ?」
 一体どうしてこの状況に、と困惑するフェイトの視線の先には、満足そうな笑みをしたアリシア、そして自分に抱きついているプレシア。よくわからなかった。でも、自分の頬がどんどん熱くなっていくのだけはわかる。だから、
「……そ、その母さん?」
 フェイトは記憶の空白を気にしないことにした。同じフロアにいる不特定多数の人に、プレシアに抱きしめられている姿を見られるのがフェイトは何よりも気掛かりだった。だがその心配は、
「アリシアぁ!」
 すぐにプレシアがアリシアへ抱きついて消えた。そして名残惜しそうに表情を和らげながら、
「フェイト、アリシア。二人共今日はもう何もしなくていいわ。遊んでいらっしゃい。ずっとお仕事で遊んでいなかったでしょう?」
 アリシアの身をも、プレシアは開放した。
「で、でも母さん。ま、まだ半分しか――、」
「大丈夫よ。全部リンディにやらせるから!」
 フェイトの言葉を遮ると、そう自慢気にプレシアが堂々と言い放った。
『ちょっとあなた、何を――、』
 耳鳴りが聞こえんばかりの館内放送を無視して、
「行ってらっしゃい。アリシア、フェイトをお願いね」
「うん、わかってる♪」
「い、行ってきます」
 リンディの怒鳴り声が響く中、
『――プレシア、戻ってきたら――、』
 プレシアは綺麗な笑顔で二人を見送るのだった。
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